「うーし、終わった終わった」


腕を上げ、伸びれば骨の音が小さく聞こえる。目の前に広がるのは真っ赤な血溜りとばらばらになった人間であっても、仕事終わりは嬉しいのか自然と口端が上がる。沢山の紅の原因となった銃は手元から消え、俺の手には何も無い。只少しばかりの紅が服に付いただけ。此の仕事が終われば屋敷に帰れる、そう思うだけで嬉しくなる。周りの奴等が俺の事をジロジロムカつく視線で見やがっても今日に限り許してやれる。明日会う事があったら撃ち殺すだけだ。


「あァー…早く帰って人参ケーキが食いてェ!」


大声を発せば周りの奴等が一斉にこっちを振り返る。ああ馬鹿みたい!小さな声で歌を口ずさみながら帰路を急ぐ(確かこの前屋敷の誰かが歌ってたような)、あーでもんな急がなくてもいいかな。俺が遅くなれば遅くなるほどあの庭には死体が増えていくだけ。使用人達が減っていくだけ、俺の所為で。そう考えたら少し愉快になって馬鹿みたいに笑い出したくなった。脳裏に浮かぶのはいつだって怠そうな表情のブラッドで、俺にだけ揺れるブラッドを見るのは少し面白いし嬉しいから態と帰るのを遅くしてやろうかと思った、屋敷に居る奴等への嫌がらせに。




それでもブラッドが好きだから足を緩めたりしないのだけれど。




を越えて












ブラッドの話の続きというか繋がった話というか。エリオットがとても歪んだ子で申し訳ない
070402