ヒートラブ







可愛くて愛しくてしょうがない、それだけ。

他の人間から見たら僕等の方が可愛いって部類に属されるんだろうが。僕等はもともとそういう風な見てくれなのを上手く使ってるから構わない。けど彼は可愛いって言われるのがとても嫌なようだ。前に言った時彼はとても怒って、暫く口も聞いてくれなかった。ふわふわの尻尾に耳、ピンク色をした物で体を彩って、尚且つ似合う彼はとても可愛いと思うのだけれど。普通の男がこんなの着けてたって気持ち悪いだけだろう物も、彼にはよく似合っている。

勿論僕等は良い子だからそれからは彼に直接は言わない。僕等二人で、彼の可愛い所を言い合う。大抵そうやって言うのは二人きりの時だから、僕等は彼の事がとても恋しくなる。恋しくなって会いたくなって。でも彼は僕等のこんな気持ち知らないから、嫌いって言われたくないからお互いを彼に例えて抱き合う。抱き方なんて互いに知らなかったけれど本能に従って触り合えば割と簡単だと云う事が分かった。其れはとても楽しい遊戯だったけれども、満足する事は無い。だって僕等が抱きたいのは、彼しか居ないんだから。もしくは切り刻みたいと云う衝動。猫だからと言ってふらふらとどこかに行ってしまう彼が僕等の手に入らないのがとても悔しかった。抱きしめて撫で回したくて触りたいのに彼はいない。ああ二人なのにこんなに寂しい事は無かったよ!

でも、この気持ちをなんて伝えたらいいのか判らないんだ。だって僕等は誰かをこんなに思った事は無いし、こんな風に抱きたいと殺したいと思うのも彼が初めてだしね。だから如何してあんなに頭が熱く、沸騰するような気分になったのかも、如何して鎌を振り下ろしたのかも分からない。

ただ分かるのは、この首は彼の首な事。




「死んじゃったね兄弟」

「そうだね、此れでボリスは僕等の物だね」




抱くことは出来ないけれど、これからはずっと一緒だよ。首だけになっても彼はやっぱり可愛くて、何も言えないその口に二人でくちづけをした。