貴方が僕を好きだというのがとてもとても気持ち悪い。胡散臭いその笑顔で如何して僕を好き等とふざけた事を抜かすのかが判りません。全く理解し難いです。理解したいとも思いませんよ、勿論。其れでも好い加減遭遇する度に好きだと言うのは止めて下さい貴方の言葉なんて何一つ聴きたくは無い筈だった、のに。好きだと囁いたその口から裏切りを宣言され、僕はどうして良いのか判らないんです。如何したら良いのか判らない、なんてそんな気持ちにさせるのはアリス一人で充分なんです。他には誰一人そんな奴、必要としては居なかったのに。裏切りなんて、そんな事言われなくともとっくに気付いていましたよ。貴方も気付かれている事位、判っていたでしょうに。皆、知っていた。知っていて知らない風に演じていた。言うまでも無かったのに。言わなければ僕の手が



血 に 塗 れ る こ と も な か っ た 





貴方は僕に何をさせたかったのかが理解出来ません。其れを聞く事ももう叶いません。僕の手で手に掛けてしまったのだから。貴方の血で僕の体が濡れるなんて、汚らしい事この上無い。嗚呼嗚呼、其れでもとても嬉しいと感じる辺りやはり狂ってしまったんですかね。頬に、手に足に髪に飛び散った貴方の血なんかが酷く美しい物に見えるなんて僕も貴方と同じ位可笑しかったのかも知れませんね。ずっと貴方を殺したかったのかも知れない。この時計の針が早くなって早くなってショートしてしまいそうな位、ドキドキしているんですよ、僕。其れでももう一度貴方の言葉を聞きたかった。裏切りを告げる言葉じゃなくて、またいつもの声でいつもの顔で、言ってくれれば良かったのに!憎らしいその顔が消えたのに、何故か僕の心は晴れない。喜ぶべきはずなのに邪魔な奴を始末出来た事を喜ばねば、ならないのに。なのになのに、如何して、この時計は軋むんでしょう!大声で笑い出したい程に嬉しくて仕方が無いのに、泣き叫びたいなんて。言わなければ言わなければ、好きだっていつものように言ってくれれば良かったのに。そうすれば貴方を憎んだまま朽ち果てる事が出来たんですよ。なんて余計な事をしてくれるんでしょう。嗚呼こんな気持ちに気付きたくは無かったのに。





どうせなら最後まで憎ませて下さい。




















(070421)